子どもと参加できる葬儀について

 葬儀、お葬式と聞くと、子連れの方にとっては子どもが騒いでしまわないか心配になるかもしれません。しかし、おそらくは多くの宗教で、礼拝・祈りの時間にお子さん連れでお越しくださる方があることは寛容に捉えられるどころか歓迎であるとされているように感じています。もちろん、大人と同じように静かにできる子だけじゃないことはわかっての歓迎なのですから、多少声を出すとか、会場を歩き回るのは問題ないと思います。そしてそれは葬儀と区切られた時間も基本的には同様のはずです(もし声を出した子どもに対して、もう少し静かにしてもらいたいので注意するとしても、諭すよう話し合いをするのではなく、問答無用で強く叱りつける・叩くなどする扱いは普通に虐待ですので、その場合はその宗教自体、気をつけるのをおすすめします)。

キリスト教葬儀の意味とは

 私はキリスト教の牧師であり、キリスト教式葬儀についてはそれを行うこともある立場から感じていることですが、キリスト教葬儀には「与えられた命を祝う」という意味づけが強くあります。お子さんが神さまから預かった生命をつかって、めいいっぱいに動き回っている姿というのは、むしろ葬儀にふさわしい慰めを語るもの…と受け取ることができるようにも思っています。そもそも、賛美歌を歌ったり…、というのは大人がするめいいっぱいの生命の表現とも言えますよね。

 実は私自身、葬儀の打ち合わせや、自宅から葬儀会場までご遺体を運ぶ際の立ち会いなどに自分の子どもを連れていったこともあります。3歳くらいになると、一生懸命にお祈りして送ってあげようという気持ちで過ごせることもあり、子どもの成長のためにも良い時間だったと時に振り返ります。

 また、あるご葬儀で、ご遺族のなかに小学生くらいのお子さんがおられ、その子から「何か手伝うことはありませんか?」と尋ねられたことがありました。とっさに、「聖書朗読するかい?」と応えたところ、式開始までの30分間、一生懸命読む練習をして、臨んでくれました。ご遺族皆さまにとってもその子の堂々とした姿に成長を喜べる瞬間となったようで、寂しい中にも、それぞれに「与えられた命を祝う」思いを抱くことができ良かったと後になって感想を聞くことができました。子どもや信徒が聖書朗読を担当するのは、実は教会の中で比較的よくあることで、こういうアレンジ提案を牧師たちは待っていたりもします。

 この例は子どもさんの聖書朗読でしたが、キリスト教葬儀には、他にも世代を問わず参列者が主体的に参加できる時間を作るための工夫の余地が実はいくらでもあります。特にご遺族に子どもさんがおられる場合、その子に何かの係を担当してもらうことを司式の牧師に相談してみられてもよいのではないでしょうか。

 みんなであたたかい祈りのひと時を作りだすことで、逝去された方への神さまの祝福もより深く感じとれることでしょう。

小野輝
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