「故郷への旅路」-いつかは訪れるその時までに準備しておきたいこと-

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 牧師をさせていただいて、よく質問をいただくのが、「自分の葬儀に向けて何をしておけばいいですか」というもの。

 いつかはやってくる、「死」。わたしたちキリスト教では、神さまのもとへ帰ると考えます。その時に、心置きなく旅立ちたい。残していく家族や周りの人に苦労はかけたくない。そういった思いで相談を受けることがしばしば。

 そこで、皆さんの旅立ちの手助けになれるような、「今からできる旅立ちの準備」リストを作ってみました。なにかの参考になれば幸いです。

A.私について

 神さまから与えられた人生を振り返ってみる。今までの人生で、神に与えられた恵みひとつひとつを数えつつ、自分の人生を書き綴ってみましょう。

1.略歴を書いてみましょう 

 (例) ○年○月○日  歳  出来事…〇〇病院で産まれる

   ○年○月○日  歳  出来事…〇〇から〇〇へ家族と共に引っ越し

   ○年○月○日  歳  出来事…〇〇幼稚園入園

   その他、入学、就職、結婚、出産など-

2.特に印象深かった思い出を書いてみましょう

 (例)生い立ち、家族や友人、学校での出来事、職場、楽しかったこと、苦しかったこと、趣味、好きなこと、打ち込んでいたことなど。

3.これからの自分のことを書いてみましょう

 ①これからやりたいこと

 ②これから行きたい場所

 ③未来のわたしへのメッセージ

4.お世話になった団体をまとめておきましょう

 所属していたグループ、趣味のサークル、部活動など、わたしのアイデンティティを確立していった環境、人生の楽しみを一緒に味わってきた人たちを思い出してみましょう。

  ・名前 (亡くなった時の連絡、退会手続きの連絡/要・不要)

  ・活動内容

  ・窓口(担当者名)

  ・電話

  ・メールアドレス

  ・URL(サイト)

  ・一言の感想

5.わたしの基本情報

 ・名前(旧姓)

 ・生年月日

 ・本籍地

 ・現住所

 ・電話番号

 ・メールアドレス

 ・勤務先など住所/電話番号

 ・所属教会(あれば)/牧師名/住所

 ・受洗年

 ・受洗教会/住所

 <公的書類情報>

 ・健康保険証

 ・後期高齢者医療被保険者証

 ・マイナンバーカード

 ・介護保険被保険者証

 ・運転免許証

 ・年金基礎番号

 ・パスポート

  ほか

B.家族や友人

 わたしの大切な人たちへ、贈る言葉を書いてみましょう。神さまに与えられた一人ひとりとの出会いを、ひとりずつ振り返って、感謝の思いを残します。

①家族の名前、関係をリストにしてみましょう

  1. 〇〇 関係〇〇
  2. 〇〇 関係〇〇

②親族

③友人その他

<大切な人への手紙>

<大切なペット>

 ペットを誰に預けるのか、書いておきましょう

C.わたしの信仰

 わたしの大切な思い、信仰の歩みを綴ります。次の世代へと信仰のバトンをつなぐために、神の愛を受け継ぐために。なかなか改まって信仰について語る機会は意外と少ないものです。

1.教会の思い出

 ① 初めて教会に行った時

 ② 信仰を持った時、またその気持ち

 ③ 信仰生活で受けた恵み

2.愛誦聖句

 ① 聖書箇所

 ② 好きな理由

3.愛唱讃美歌

 ① 讃美歌の曲名と曲番号(本の名前)

 ② 好きな理由

D.老いの日々

 もし大きな病にかかったり、認知症になったりしたら、誰に頼りましょう。医療にかかることになったとして、どこまでの治療をしますか。いざという時に、自分がコミュニケーションを取れなくなると、代わりに自分の意思を伝えてくれる人が必要です。

 わたしをサポートしてくれる人に、わたしの意思をきちんと伝えておくために、まとめておきましょう。

1.重い病気になった時、告知の希望(告知してほしい、しないでほしい、すべて伝えてほしい、わたし一人に伝えてほしい、家族と共に伝えてほしい)

2.治療に関する希望(延命治療希望の有無、緩和ケア希望、家族に任せる、ホスピスに入る)

3.牧師を呼んでほしい時(病床で礼拝をしてほしい、容態が悪化したら牧師に知らせてほしい、最後の祈りをしてほしい、など)

 牧師の名前:

 牧師の電話番号(教会の電話番号):

 教会員で連絡をしてほしい人

4.介護が必要になった時

生活したい場所(自宅、高齢者施設など)

5.認知機能が衰える前に

意思決定、財産管理を誰に判断を任せるか

6.臓器提供・献体について

① 脳死状態になったら 臓器提供を望む・望まない

② 死後の献体の登録先(ある場合は)

E.葬儀と埋葬

 わたしの葬儀をする時というのは、残された人たちが準備や後の手続きまで行ってくれるということ。できれば負担をかけずにしたいもの。自分の希望をあらかじめ伝えておけば、残された家族や教会の人たちは故人の意思を反映することができて、お互いが心穏やかに執り行うことができるでしょう。 ここではキリスト教式の葬儀に関して詳しく示しておりません。よろしければ他のコラムに先生方が詳しくわかりやすく載せてくださっているので、お読みください。

1.葬儀の希望

 ・葬儀をする/葬儀をせず火葬のみ

 ・前夜式をする/しない

2.参列者

 ・家族のみ/親しい人のみ

 ・盛大な葬儀にしたい

 ・その他

3.宗教

 ・キリスト教で/その他の宗教で

4.葬儀の場所

 ・教会(◯◯教会)/自宅/葬儀施設で(名前:       )/その他

5.その他希望

 ・遺影を準備している/遺影は家族に任せる

 ・棺に入れてほしいもの

 ・香典・お花料を受け取る/受け取らない

6.わたしの葬儀に参列してくださった方々へのメッセージ

7.埋葬について

 ・埋葬地の希望(名称、住所、連絡先など)/家族に任せる

 ・分骨、散骨、樹木葬などの希望

F.残すもの

 長い人生の歩みの中で、わたしたちはたくさんの物に支えられて生きています。人生の節目節目を表す思い出の物。それらをどう残すのか、または手放すのか、誰に譲るのか。物以外にも、土地やお金などの財産は、残された者同士で争いのもとになることもあります。そうならないためにも、どのような形で残していくのか、考えてみましょう。

1.残すもの(相続するもの)リスト

 ・土地

 ・家屋

 ・預金

 ・株券

 ・現金

 ・その他資産

2.形見と残す相手

 いかがでしたでしょうか。これらのことを準備する、いわゆるエンディングノートを作成する作業って、なかなか腰が重いもの。しかし、こうして具体的なリストがあれば、少しずつ取り掛かれそうな気がしますね。

 聖書には、死はすべての終わりではない、復活と希望であると教えます。死の後には祝福に満ちた世界があるのです。希望の中に、やがてくる「死」への準備、してみませんか。

 今回のリストは、高橋貞二郎、増田琴監修『未来への言葉 クリスチャン・エンディングノート』を参考にさせていただきました。さらに詳しくエンディングノートを作成したい際は、ぜひこちらの本を!

池田優希
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