ひとくちに「キリスト教」と言っても、実はそのすべてが完全に一つの団体というわけではありません。キリスト教会にはいくつかの「教派」(宗派)と呼ばれるグループがあります。過去には教派同士で直接的な軍事紛争を伴った争いもありましたが、現在その多くは互いに協力し合う、もしくは穏やかな協議を続ける関係を築けています。
キリスト教にもいろいろなグループが
日本においては「カトリック」と「プロテスタント」(諸派)の信徒人口が比較的多いのですが、歴史的に見るとこれらは「西方教会」とくくられ、かつてあったローマ帝国の西側の地域(西ローマ帝国)に広がっていった教会です。西方と呼ばれるものがあるのですから、「東方教会」(「正教会」と呼ばれます)があり、こちらはビザンティン帝国(東ローマ帝国)の地域に広がっていきました。古くからあった5つの教会の中心地(総主教区)のうち、ローマ主教区につながるのが西方教会、その他4地域(アレクサンドリア、アンティオキア、エルサレム、コンスタンティノープル)につながるのが東方教会です。東方/西方教会が、教派の区分のうちの大もとと言えるでしょう。
これら教会が決定的に分かれたのは、1054年、互いに代表者を破門したシスマ(大分裂)と呼ばれる出来事とされていますが、以前から文化圏の違いが大きくあったのが現実のようです。現在は互いの破門は解かれていますが、東方/西方教会の間には、例えばキリストの呼び方(西方教会:キリスト、正教会:ハリストス)や、十字の切り方の順序(西方教会:上下左右、正教会:上下右左)などにも違いがあります。
やがて西方教会の中で起こった宗教改革によってプロテスタント諸教会ならびに聖公会(イングランド国教会)が生まれることとなりますが、これは改革者やその後継者たちによってそれぞれの教会となっていきました。
破壊的カルトにご注意
現在は、キリスト教のように見えても、信仰している内容に大きく違う性格を持っており「新宗教」に分類することが適切であるグループもあります。またその中に、信者やその周囲の人の心身の健康を害する「破壊的カルト団体」「カルト的性格を有するグループ」もあります。これら団体はマインドコントロールという手法を用いて、その団体に都合の良い思考を植え付けてしまいます。
代表的なところでは、「世界平和統一家庭連合」(世界基督教統一神霊協会・統一協会)は、そのような被害報告が数多く寄せられています。旧団体名には「基督教」という文言が入りますが、信仰的な内実も全く異なります。他には「エホバの証人」(ものみの塔聖書冊子協会)も、特にその子どもたちに対しての鞭打ちなど、虐待的な扱いを受けたとの証言が絶えません。
正直に言いますと、残念ながら時により「キリスト教」という枠組みでも、高額献金の強要や、信仰を利用したハラスメントが存在してしまいます。これは教会のカルト化と言われ、上記と同様に注意すべき事柄です。
ともなるに登録している牧師たちの所属する日本基督教団は、「カルト問題連絡会」という名称の専門委員会を設置し、他の専門的グループと協力しつつ被害者相談や啓発活動を行っている他、各地域グループの教区でも相談を受け付けています。登録牧師の中にも相談経験者がありますから、上記のところへのお繋ぎなどでもお手伝いができるかもしれません。