「良い式を準備するために」

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 私は働きを担っている桐生東部教会以外にもう1つ、吾妻教会の働きも担っています。群馬県の西部にある吾妻教会では、2024年5月から牧師が不在となりました。牧師の辞任、異動などがあると、別の牧師に就任していただく必要があります。宗教法人の手続き、規則上、教会に牧師を招く必要があるのです。しかし、教会では牧師不足という課題もあり、すぐに後任の牧師を招くことができないこともあります。その場合、他の教会で働きを担っている牧師などが“代務”として、牧師不在の教会の働きを担ったり、宗教法人上の代表役員に就任したりします。私は月に1度、第1日曜日に吾妻教会へ行き、吾妻教会の皆さんと一緒に礼拝を守り、役員会に出席しています。

 その吾妻教会で、長く教会を支えてこられた教会員さんが亡くなられました。事前にご家族から「(その方の)体調が思わしくない」ということは聞いていました。なんとか体調が守られるように、回復するようにお祈りしていましたが、天国へ召されてしまいました。ご遺族から前夜式、葬儀の司式を依頼され、私が前夜式、葬儀の司式を担わせていただくことになりました。しかし、私は桐生市での葬儀には慣れていますが、吾妻での葬儀は初めてです。葬儀会社によっても葬儀の準備の仕方、式の役割分担なども変わります。また、その地域によってもいろいろな違いがあったりします。なので、準備や式の内容など、かなり丁寧に葬儀会社やご遺族と話し合う必要がありました。

故人のことを想いながら

 キリスト教の前夜式、葬儀の中で、牧師が式辞で故人の略歴や人となりなどをお話します。私は今回天国へ召された方とは、10回ほどしかお会いしたことがありませんでしたし、じっくり話をする機会もありませんでした。前夜式と葬儀はその方を天国へ送り出す大切な時なので、できるだけその方の人となりやさまざまな人とのエピソードなども知りたいと思いましたが、式までの限られた時間の中でさまざまな情報やエピソードを集めるのはかなり難しかったです。それでもできる範囲でご家族や教会の方などにお話を聞き、その方を偲び、天国へお送りするためのお話を準備しました。

 また、お話は残されたご遺族や繋がりのあった方々の慰めにもなるようなお話をさせていただくこともあります。その準備を牧師一人で行うことはかなり難しいです。ご家族や繋がりのあった方々からのさまざまな情報がより豊かな式辞をつくるために必要不可欠です。もちろん、故人にご遺族がいない場合、繋がりのある方があまりおられないケースもあるでしょう。その時は牧師がその方のことを思い、その時に合った聖書箇所を選び、心を込めて準備します。

キリスト教葬儀への牧師派遣「ともなる」

 「ともなる」の葬儀も、牧師が故人と生前に交わりがあるケースはほとんど無いように思います。もちろん、ご遺族とお話をする中で、思いがけない共通点や繋がりがあるということもあるかもしれませんが。良く知っている方の葬儀であっても、初めて葬儀を通して出会う方の式であっても、牧師は心を込めて、できるだけ良い式にすべく準備を進めます。「ともなる」の葬儀は、牧師にとって初めての場所、地域、葬儀会社、火葬場などで葬儀を執り行う場合も多いと思います。だからこそ、より良い葬儀を準備するためにはコミュニケ-ションが大事になります。もし、キリスト教式で葬儀をされる場合、葬儀会社や牧師とコミュニケーションを取りながらより良い式にすべく準備を進めてほしいと願います。ご遺族の希望や思いなどもぜひ牧師にお話してみてください。

 また、ご自身でいつか来る地上での最期の時のためにできることもあります。私の教会では、最期の時のために自分自身のことを書き残す「私の軌跡」という用紙を用意しています。自分自身の略歴や好きな讃美歌、聖書箇所を記したり、ご家族とのエピソードなどを書く欄や葬儀の希望などを書く箇所もあります。

 葬儀についてご遺族と葬儀会社と話をする中で、式場のお花をどれくらい飾るか、お花料をどうするか、どれくらいの人に告知するか、返礼品をどうするか、前夜式を執り行うのか、献花のお花の数をどうするか、弔電を読むのかなどなどいろいろ決めて行かなければなりません。もし、ご自分でその希望を書き残しておけば、ご自身の希望に近い形で葬儀を執り行うことが可能になりますし、ご遺族にとってもそのような故人の思い(情報)があると助かると思います。「ともなる」でもそのような用紙をダウンロードして、お時間がある時に、自分の人生を振り返りつつ、書き残していくことができるようにするのも良いかもしれません。一度書いて終わりではなく、時間が経ってから再度その時々の思いを書き直すのも良いと思います。

 葬儀は地上での最期の時です。天国へ旅立つご自身にとっても、あなたのことを見送るご家族や繋がりのあった一人一人にとっても、良い式を準備するために、それぞれにできることがあると思います。大きな悲しみの中にも、慰めが与えれたり、故人との在りし日を振り返る中で、確かに手渡された大切なものに気付かされたり、さまざまな思い出に心温かくなるような時を持つことが出来ますように。


三浦啓
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